祇園精舎の鐘の音

荷物を置き、早速園内へ。到着が7時前だったため、公園には誰もいない。ちなみに、この場所の別名「サヘート・マヘート」というのは2つの違う場所のことを言うそうで、城の跡はサヘート、ちょと歩いた祇園精舎をマヘートというらしい(坊さん談)。ここでも外国人の入場料は100ルピー。

坊さんから「朝食があるので7時半に戻ってきてください」と、いきなり朝メシ付きという特典。しばらく園内を見て歩く事にする。ブッダが宿泊していた建物の跡や、弟子達が瞑想していた場所である。朝もやの誰もいない静寂な園内には、今や建物の基礎だけが残るばかりだが、かつてはブッダがコーサラ国の王やその家臣をはじめ、多くの弟子たちに説法をしたのであろう。

ここで不思議な体験をする。ある建物前につくと、悲しい訳でも感傷的になっているという事でもないのに何故か急に涙が出てくる。長旅で目が疲れている訳でもない。この場所が過去世の縁に触れたのか、潜在意識の記憶なのか。しばらくの間、勝手に溢れ出て止まらない涙をダラダラ流しながら歩く。人がいなくてよかった。

祇園精舎 シュラバスティー
祇園精舎。鐘はない

寺に戻り、3人の坊さんと一緒に朝メシタイム。スリランカは大乗仏教なので、日本の仏教とはやや違い、黄色の羽織に橙色の袈裟をかけるスタイルである。仏像も金ピカ。今はスリランカからの巡礼僧が少ない時期らしく、寺院には自分のほかにお手伝いのインド人(男)2人しかいない。彼らは現地の人で、坊さんの食事の準備や片付けをしていた。

食前のお祈りをし、大きなプレートに盛られた料理を食べる。いろいろおかずが乗っているが、どれも辛そうだ。食ってみるとやはり辛い。魚の佃煮など、目から火が出るくらい辛い。がウマい。昨夜はバナナ2本と水しか摂っていなかったので、遠慮なしにガツガツ食ってしまう。

食後のコーヒーまで付くという、至れり尽くせり状態で、コーヒーを飲みながら、3人の中で一番若い坊さんと話す。彼はスリランカ大使館主催の日本語教室で日本語を学んでおり、将来は日本に行ってみたいそうである。日本語の音読みと訓読みがよくわからないということだったので、帰国後、小学校の漢字ドリルを送るというと喜んでいた。

バグシーシ軍団行列

腹もいっぱいになり、ちょっと眠くなる。昼まで一眠りすることにする。午後から再度サヘートへ。静かな朝とは違いぱらぱらと人がいる。そこで、マークというオーストラリア人に出会う。彼はとても紳士的な人で、オーストラリアのメディテーションセンターに勤めているということだった。仏教での瞑想にとても興味があるらしく「ココはブッダの住んでいた部屋跡だ」などと詳しいガイドをしてもらう。

お互い見たいところがあったので、しばらく話した後別れ、自分はマヘートから少し歩いたアングリーマーラーという塚に向かう。ここは、有名な指切り悪人マーラがブッダの教えに帰依した場所である。

そこまでの道のり、歩いていくと、どこからともなく子供達が寄ってきて、服の裾を握ってついてくる。何か言ってくるがヒンズー語のため全くわからず。軽く受け流して歩き続け、塚に到着。ふと振り向くと、オーノー!なんと子供達が15人ほどに膨れ上がり、ぞろぞろついて来ているではないか。

子供達は「バブー、バブー」「バブー、ルピー」と口々に言ってくる。最初はわからなかったが、どうやら「バグシーシ」の意味だということに気づく。小銭が無く、一人にあげると大変なことになると予想されたため、覚えた数少ないヒンズー語「ナヒーン(NO)」で攻防する。

バグシーシ軍団
ザ・バグシーシーズのメンバー

子供達はほとんど強制的に自分の手を引いてアングリーマーラー内を案内してくる。しかし、彼らの好意も全てヒンズー語のため、「アングリーマーラー」「ブッダ」以外は全く分からず。が、ちゃっかりガイド料をくれと言ってきたので、「きみたち、世の中はお金ではないのだよ」と持っていた飴をやる。

子供達からのブーイングを背に寺院に戻る。

金ピカ仏像前で一緒に読経

宿泊寺院の前に着くと、ちょうどタイからの観光ツアーバスが2台止まっていた。そこに土産屋の屋台や、フレッシュジュース屋などがおり賑わっていた。ツアーバスのお客が土産を買いまくり、この寺院にあるという仏舎利を拝み、バシバシ写真を撮り帰っていった。みんなおばさん。どの国もおばはんパワーはすごいなどと感心してしまう。

シュラバスティーのザクロジュース屋
ザクロジュース屋とバグシーシ―ズ

嵐のように去ったおばさんたちの後、釈迦の彫刻された小さな石版などを半値以下で買い、ザクロジュースを飲む。ジュース屋の兄ちゃんは豪快にザクロの実を手動の絞り機に入れ、力任せに絞る。胸もでかくなりそうな100%ザクロジュース。夕暮れ時でなんだか静かなひとときである。

夕刻の読経が始まったので離れたところから見ていると、お前も来いとばかりに手招きされ、金ピカ釈迦像の前で一緒に拝む。日本では正座が多いがこちらは半跏趺坐。お経の響きに眠くなる。その後、夕食の時間になり、また3人の坊さんと一緒に食べる。メニューはチャパティ、ライス、大根を辛く煮たもの、ダール、激辛ドライフィッシュ、カレー味のカリフラワー、チーズ、お湯といった感じで、これまた美味い。が、全て辛いため、昼飯を食べていなかった胃にはこたえる。

皆さん朝が早いため、就寝時間も早いようで、昼寝をして全然眠くない自分を差し置いて消える。あたりには何もないため、夜はハンパじゃないくらいに真っ暗で、窓から外を見ると黒100パーセントの暗黒世界。何も見えない。侵入者がいても全くわからないぞ。しかも夜間は発電機が切れるのか電気がつかないため、眠くなくても寝る以外できる事はない。仕方なく寝る。

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