バラナシにもバーはある

今夜はシヴァの行きつけのバーがあるので、そこで飲むことになっていた。シヴァは酒好きらしい。正に不良ヒンズー教徒だ。が、愛嬌があり、憎めないキャラである。ホテルに戻りシャワーを浴び再度出発。ホテルマネージャーはシヴァ達に、「彼をどこに連れて行くつもりだ」と心配してくれていたが、「食事」ということで結局行く。インドのバーというのも見たかった。で、行った店はホテルから歩いていける場所にあった。バーというよりは普通のオープンエアーのレストラン。客全て男。女っ気なし。飛び込みではちょっと来れない。

通常レストランのメニューには、おおっぴらに酒は書いていない。一度ホテルでビールを頼んだが、中ビン位の大きさで120ルピーだった。日本円で約320円だから、インドの物価水準からいうとかなり高い。がこの店は、シヴァが「バーだ」というだけあって、メニューには酒がバシバシ書いてある。ビール中ビン75ルピーだった。

バーにはシヴァの友人達がおり、彼等と合流する。シヴァとヴィーノは今日あった出来事を彼らと話している。ヒンズー語はわからないが、どうやらATMのところでヒンズー2号に相乗りしてきたお姉ちゃんのことを話しているようだ。みんな笑って聞いていた。友人たちは4人いたが、その中でもシヴァが一番お調子者という感じだった。ヒンズー語も少し覚えていったので、ちょっと使うとみんな面白がってヒンズー語講座で盛り上がる。
仲間の一人はシヴァの実の弟で、もう一人はその親友らしい。みんな酒が強く、「こないだは1人ビール7本ずつ飲んだ」と言っていた。

その後、友人達は帰ったが、ヴィーノが「これ見てよ」と新聞を持ってくる。バラナシに来ていた日本人観光客が死亡したというニュースが載っていた。シヴァによると、彼はガートでインド人からタバコを勧められて吸い、ラリってホテルに帰った後、バスタブの中で水を出しっぱなしにして溺死したそうで、彼の口からは白いものが吐き出されていたそうである。タバコは多分マリファナなどだったのだろう(本人が知っていたかは不明)。そのヒンズー語の新聞には死後ベッドに横たわる彼の顔写真が掲載されていた。ヴィーノは「ガートで誰かに声をかけられても絶対に食べたり飲んだりしてはいけないよ」と何度も言っていたが、その記事を見せ「ね、だからだめなんだ」と真剣な顔つきで語る。

ヴィーノはあまり酒が強くないらしく、コップ2杯飲んで「もういい」と言っていたが、自分とシヴァはそれぞれビン2本ずつ飲む。かなりいい気分になり帰ることにする。タンドリーチキンフル(一羽)とサラダ、その他で750ルピー。ご馳走する。インドは飲酒運転がノープロブレムなのかどうかわからないがヒンズー2号で送ってもらう。彼らにいくらのチップを渡そうかずっと考えていた。そもそも最初は「満足しなければ金はいらん」と豪語していた。これまで「お前がハッピーなら、俺もハッピーだ」などと、一度も自分たちから金の話をしてこなかった。他のガイドはみんな「グッドサービス、グッドチップ」と暗に「満足したら金をくれ」的な話をしてくる。これはジョギンダもそうだった。インド的発送ではそれがお約束だと考えることにしていたが、その相場については難しいところである。

なんちゃってツーリスト、シヴァ(左)とヴィーノ

インドは確かに物価が安く、ガイドブックにもリッチな気分が味わえると書いてあったが、その認識でインドに行くのは間違いである。確かに滞在するだけなら安い。その辺の屋台のサモサ8ルピー、ミネラルウォーター12ルピー、バナナ半房8ルピー、日本円のレートが1ルピー約2.7円(当時)だから食費は安い。
が、ガソリン1リットル29ルピーでヒンズー2号満タンにして27リットル入っていたから783ルピー。ビール一本酒場で75ルピー、携帯電話は本体価格1000ルピーくらいするそうだし、街中にあったブランドの服などになるとドル表示である。ホテルも安いところは1泊100ルピー以下で泊まれる、が4つ星。5つ星クラスは100ドル超える。

インドでは家族が多く、通常、母親、妻は外で働かない。そのため、一家を支える稼ぎは男の役割である。TVを見ているとアメリカや海外の番組もガンガン流れており、彼らの生活水準からしてみるとそういった国はリッチな訳である。当然、そんな情報を見れば、人間の自然な欲求として、いい生活をしたいというふうに思うのは当然である。が、現実は仕事がない。カーストも実際は残っているし。そこで、子供達はそこそこの年齢になると自分たちで稼がざるを得なくなる。しかし、人口の多いインドにおいては、競合が激しい訳で、そこに自分たちの水準からするとベリーリッチ(日本人は全てベリーリッチだと思われている)な観光客がやってくれば、営業の矛先がこちらに向いてくるのは当然で「買ってくれ」「何かくれ」「乗っていけ」となる。価格も外国人価格が適用される。タージマハルなどもインド人が20ルピーなのに外国人750ルピーだもんね。その他の観光地も全て同じ。国営からしてそうなワケで、一般ピープルはなおさらなのである。

安宿に泊まり買い物などもしない場合は1週間1万円の生活が可能ではある。自分は出来ることは何でも経験したいという考えだったので、極貧旅行はするつもりはなかったが、現状は予算オーバーの状態である。ということで、彼らには1500ルピーずつのチップを渡す。

彼らがそれでハッピーだったかどうかはわからない。

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