聖なるガンジス河へ
そしてガンガーへ。うぉー、広い。やっと来たぜ聖なる河。ガートが建ち並び、何だかリゾート海水浴場のようだ。
沐浴するかと言われ、水際まで階段を下りる。が、聖なる河の水面には、ゴミ、油らしきもの、その他いろいろ浮いており、神田川よりもデインジャラスである。沐浴は遠慮することにしてボートに乗ることにする。
ヴィーノにフィーはいくらかと尋ねると「ボスに聞いてみて」と河沿いにいる花紀京似のボス(舟のオーナー)を指差す。紀京に金額交渉をしようとするとシヴァが「ノープロブレム、降りたら決めよう。早速乗って来い」などと急き立てるのでそうすることにして舟に乗る。が、これがその後プロブレムになるのであった…
ボートにはシヴァの友人でトゥントゥンというガイドの兄ちゃんとボート漕ぎの2人。10人はゆうに乗れるボートに自分を入れて計3名。
ニヒルさを醸し出すトゥントゥンは歯ブラシをガンガーの水に浸し歯を磨くという強靭な免疫力を持つ21歳。昨夜は友人の結婚式パーティーで朝まで飲んでいたそうで、家族を持つことが素晴らしいとされるインドにおいて「家庭はいらない、愛が欲しい」と言ってのける男である。昨夜のパーティーでも朝まで多くの女の子とたくさんキスをしたなどと自慢していた。
河の流れはゆっくり静かで、多くのガートを舟から眺め、ナイスな気分になる。ガイドブックにガートの撮影は絶対禁止と書かれていたので、トゥントゥンに撮影はマズイのかと聞くと火葬場意外はノープロブレムらしい。
乗った場所がやや上流だったので下流へと進み、河からガートを見る。そしてUターンし、対岸にあるラームナーガ城へ向かう。かつてはマハラジャの城だったのだが、現在は博物館になっており、マハラジャが金にモノを言わせて集めたコレクションが展示してある。城の奥には今もマハラジャの子孫が住んでいるらしい。舟を降り、博物館へ。輿や狩道具などが無造作に置いてあるだけで、なかなかのショボさ。
その後、近くにウマいラッシーの店があるというので連れて行ってもらう。大量のハエがたかるとても衛生的な店で、素焼きのカップに入ったラッシーを飲む。飲むというよりスプーンで食べるのだが、日本でラッシーといえば、ヨーグルトドリンクみたいなものしか飲んだことが無かったのだが、正にヨーグルトそのものといったドロっとした感じで、上にチーズのような味の違うヨーグルトがかかっている。ハエどもを手で追い払いながら食うと、これがメチャうま。
みんな、食い終わったら水を入れて、カップのまわりに付いたのを溶かし込んで飲んでいた。バラナシの飲料水の源水はガンガーの水だと聞いていたので、ためらいを感じたが、結局飲む。だっておいしかったんだもーん。
そろそろ戻るか、と河へむかう途中、トイレに行きたかったので「トイレどこ?」とトゥントゥンに聞くと地面を指し「ココ」。ということでその辺の壁に向かって用をたす。こういう時男は便利だ。
ボートに戻るとトゥントゥンは「ちょっとまってくれ」と服を脱ぎだし、パンツ一丁になる。そして、取り出した石鹸で頭と体を洗う。最後にガンガーにドボンと浸かり、本日のフロ終了。聖なる力で全てのバイ菌は死滅したことだろう。
おまえもどうだと言われるが笑ってやり過ごす。
自分もボートを漕がせてもらい、ゆっくりと河を下る。ここに住む人たちの生活が見える。
牛が行水した下流でオヤジが体を洗い、その下流では子供達が泳ぐ。おばあさんは河で洗濯を、ウンコした子供がケツを洗い、お母さんはナベを洗う。そんな素敵な聖なる河ガンガー。何でもあり。
ボート乗り場に戻ってみればガンガーのノープロブレムぶりに思わず6時間も経っていた。明朝、ガンガーからの日の出を見ることを約束し、ボートを降りる。岸ではシヴァとビーノが待っており「ハッピーか?」と尋ねるので「ベリーハッピーだ」と答えた、この時は…。
明朝もここに来る予定だったのでフィーはその時でOKだと言われ、まあ、それでいいならそうしようということにする。