列車は走るよバラナシへ

俺の車両はA1だったのだが、A1車両は2人の前を通り過ぎていったらしく、じじいは列車の乗客に「この車両はA1か」と叫んで聞いているのである。あんた、意味ないじゃん。

インドの列車は連結部分で車両が別れているので違う車両に乗ってしまうと悲劇を生むことになる。しかもこの列車はバラナシまでの約500キロの間に2回しか停車しない特急である。なんとか自分の車両に乗り込むが、全席満員御礼状態。俺の席がない。車両内を行ったり来たりするうちに、じじいが「ここに間違いねぇズラ」と指したベッドにはカルザイ大統領似のおっさんが高いびきで寝ているではないか。

以下ヒンズー語の会話
ポーターじじい(以下P)「ちょっと、あんた。ここはあんたのベッドじゃないズラ」
カルザイ(以下K)「おお、わしのベッドではなかったか、ではわしのベッドはいずこ」
P「チケット見せなせ。…あんたこの上ズラ」

が、その上では佐藤蛾次郎似の男が高いびき。PとKに揺り起こされる。蛾次郎は向かいのベッドだったらしく、そこには大きな荷物が置いてあった。蛾次郎は自分のベッドの荷物をどかすため周りの客をたたき起こす。迷惑な話である。カルザイは上のベッドで既に爆睡。Pは下のベッドに「ヒッヒッヒッ」と荷物を置き、「若いの、バグシーシじゃよ、バグシーシ」と手を出してくる。さっき50ルピー渡しただろが。ジョギンダが席についたら渡せと言っていた訳がよくわかった。

じじいも去り列車出発。これで後は寝るだけだ。が、ここでまたもや問題発生。下のベッドというのは進行方向に向き合ったイスの背もたれをパタンと倒したものだったが、その下にカルザイのでかい荷物が置いてあるためベッドの中央部が膨らんでおり、いわゆるエビ反り状態になるのである。これで朝まではキツイでしょう、ちょっと。ということでカルザイに「大統領、お荷物を移動していただけますでしょうか」と言うと、「では、そなたは上で寝よ」との仰せだったので、入れ替わり、大統領は下でエビ反る。この車両の注目の的になりつつ寝る。

目覚めればバラナシだ。

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