HOME
デリー
デリー〜ジャイプール
ジャイプール
アーグラー
バラナシ初日
バラナシ2日目
バラナシ3日目
シュラヴァスティ初日
シュラヴァスティ2日目
バラナシ再び
デリー再び

あなたから愛を込めて


聖なる河、ガンガー


向かいの4人ベッドからの話し声で目を覚ます。何か食っているようだ。もう朝かと時計を見るとまだ4時じゃん。あんたら早すぎ、と再度寝る。その後列車の兄ちゃんが「あんた、バラナシに着いたで」と起こしに来る。そういえば昨夜どこまで行くか聞かれたな。

時計を見ると6時過ぎ、気の早い乗客が出口前に群がっている。眠い目をこすり列車を降りる。まだ外は暗く寒い。ホームでは女の子が歯磨き棒を売っており、みんなその木の棒をガジガジ噛んでゴシゴシ歯を磨いている。自分もガジガジしたかったが、細かいお金がなかったため、やむを得ずマイ歯ブラシでインド人にまぎれて歯を磨く。みんな顔が黒いため、歯だけがあちこちに浮かび上がり、なかなか不気味なものがある。
ホテルの予約をしていなかったのでどうしたのものかとチャイを飲みながら考えていると、オートリクシャーのドライバーがガンガン声をかけてくる。朝早くからご苦労なことである。デリーの二の舞いにならぬよう「ノーサンキュー」を通す。

プラットホームにいるとうっとうしいので、ホームに戻りガイドブックを広げてホテルを探していると、さっき断ったドライバーが隣から覗き込み、「ディス ホテル イズ ヴェリーナイス」などとガイドブックのホテルを指差してくる。「あとはココとココがいい。自分がこの3つに連れて行ってやろう。部屋を見て気に入ったホテルに決めればいい。俺はプリペイドリクシャーだからポッキリ20ルピーでOKだ。」などと歌舞伎町ぼったくりのようなお約束トークをのたまう。が、悪い奴ではなさそうだったので「本当に20ルピーしか払わねーからな」とまたトラベラーに連れて行かれるんだろうなーなどと思いながら乗り込むことにする。
1件目はガイドに載っているホテル「ホテルブッダ」。よく見ると「ホテルバッダ」とか全然違うとこじゃねーだろな。などとフロントに行くと、ちゃんと合っている。350ルピーの部屋を見せてもらうと、今までで一番きれい。10%のディスカウントもしてもらい、決める。ドライバーに「ここに決定」。と20ルピーを渡そうとすると「この後どうするんだ、俺が町を案内してやる」と言う。いずれにしても、またリクシャーと交渉するのが面倒だったので、いくらか聞くと「お前が満足しなければ1ルピーでもいい」などと、またしてもお約束のトーク。しかも、さっきの20ルピーも一緒でいいと言ってくる。「よしゃ、満足ならばちゃんと払うけど、そうじゃなかったらホントに払わねーからな!」と交渉成立。8時に迎えに来てもらう約束をする。
ホテルブッダ。オーナーは仏教徒か?
ホテルのチェックインは本来12時だったがオーナーが「今から入れちゃる。」とキーをくれた。シャワーを浴び、バラナシの地図を見て行きたいところをチェックする。まあ、ガンガーと寺院くらいでしょう。という事で8時に下に降りるとドライバーの兄ちゃんは既に迎えに来ていた。リクシャーには新たなインド人がもう一人乗っている。ますますあやしい。が、その後3日間を彼らと共にすることになるとは、この時は予想だにしなかった。
最初に声をかけてきた男はシヴァ、24歳、1児の父。もう一人はヴィーノ、21歳独身。
自分のようなインド初めて外国人への観光案内を生業とするリクシャードライバー兼なんちゃってツーリスト達である。ヴィーノは『ヴィーノはいい人です。ボートにも乗せてもらいましたが、適正な価格でした』などと日本の女の子のコメントが書いてある手帳を見せて、トラストミーを連発する。君達、ガイドブックに書いてある危ないリクシャーの見本だよ、そのトークは。

既にデリーからジョギンダのプロフェッショナルツアーを経験していた自分は地図を指しココとココを見たいので行ってくれとバーラト・マーター寺院、トゥルガー寺院を見る。トゥルガー寺院などはヒンズー教徒以外は寺院の中に入れないとガイドブックに書いてあったが、なんちゃってツーリストには関係なし。ノープロブレム。

写真では決してわからない、ガンガーの甘く危険な流れ
そしてガンガーへ。うぉー、広い。やっと来たぜ聖なる河。ガートが建ち並び、何だかリゾート海水浴場のようだ。
沐浴するかと言われ、水際まで階段を下りる。が、聖なる河の水面には、ゴミ、油らしきもの、その他いろいろ浮いており、神田川よりもデインジャラスである。沐浴は遠慮することにしてボートに乗ることにする。
ヴィーノにフィーはいくらかと尋ねると「ボスに聞いてみて」と河沿いにいる花紀京似のボス(舟のオーナー)を指差す。紀京に金額交渉をしようとするとシヴァが「ノープロブレム、降りたら決めよう。早速乗って来い」などと急き立てるのでそうすることにして舟に乗る。が、これがその後プロブレムになるのであった…

おそるべし、地元民

ボートにはシヴァの友人でトゥントゥンというガイドの兄ちゃんとボート漕ぎの2人。10人はゆうに乗れるボートに自分を入れて計3名。

ニヒルなトゥントゥンは歯ブラシをガンガーの水に浸し歯を磨くという強靭な免疫力を持つ21歳。昨夜は友人の結婚式パーティーで朝まで飲んでいたそうで、家族を持つことが素晴らしいとされるインドにおいて「家庭はいらない、愛が欲しい」と言ってのける男である。昨夜のパーティーでも朝まで多くの女の子とたくさんキスをしたなどと自慢していた。

インドのチャラ男トゥントゥン
河の流れはゆっくり静かで、多くのガートを舟から眺め、ナイスな気分になる。ガイドブックにガートの撮影は絶対禁止と書かれていたので、トゥントゥンに撮影はマズイのかと聞くと火葬場意外はノープロブレムらしい。

乗った場所がやや上流だったので下流へと進み、河からガートを見る。そしてUターンし、対岸にあるラームナーガ城へ向かう。かつてはマハラジャの城だったのだが、現在は博物館になっており、マハラジャが金にモノを言わせて集めたコレクションが展示してある。城の奥には今もマハラジャの子孫が住んでいるらしい。舟を降り、博物館へ。輿や狩道具などが無造作に置いてあるだけで、なかなかのショボさ。

その後、近くにウマいラッシーの店があるというので連れて行ってもらう。大量のハエがたかるとても衛生的な店で、素焼きのカップに入ったラッシーを飲む。飲むというよりスプーンで食べるのだが、日本でラッシーといえば、ヨーグルトドリンクみたいなものしか飲んだことが無かったのだが、正にヨーグルトそのものといったドロっとした感じで、上にチーズのような味の違うヨーグルトがかかっている。ハエどもを手で追い払いながら食うと、これがメチャうま
みんな、食い終わったら水を入れて、カップのまわりに付いたのを溶かし込んで飲んでいた。バラナシの飲料水の源水はガンガーの水だと聞いていたので、ためらいを感じたが、結局飲む。だっておいしかったんだもーん。
そろそろ戻るか、と河へむかう途中、トイレに行きたかったので「トイレどこ?」とトゥントゥンに聞くと地面を指し「ココ」。
ということでその辺の壁に向かって用をたす。こういう時男は便利だ。

ボートに戻るとトゥントゥンは「ちょっとまってくれ」と服を脱ぎだし、パンツ一丁になる。そして、取り出した石鹸で頭と体を洗う。最後にガンガーにドボンと浸かり、本日のフロ終了。聖なる力で全てのバイ菌は死滅したことだろう。
おまえもどうだと言われるが笑ってやり過ごす。

恐怖のガンガー風呂
自分もボートを漕がせてもらい、ゆっくりと河を下る。ここに住む人たちの生活が見える。
牛が行水した下流でオヤジが体を洗い、その下流では子供達が泳ぐ。おばあさんは河で洗濯を、ウンコした子供がケツを洗い、お母さんはナベを洗う。そんな素敵な聖なる河ガンガー。何でもあり。

ボート乗り場に戻ってみればガンガーのノープロブレムぶりに思わず6時間も経っていた。明朝、ガンガーからの日の出を見ることを約束し、ボートを降りる。岸ではシヴァとビーノが待っており「ハッピーか?」と尋ねるので「ベリーハッピーだ」と答えた、この時は…。明朝もここに来る予定だったのでフィーはその時でOKだと言われ、まあ、それでいいならそうしようということにする。
明朝は5時半起きだったので早めにホテルに戻る。ホテルに着くとオーナーが「何も問題ないか?あいつらはいい奴か?」と心配してくれる。腹も減っていたのでホテルのダイニングルームでメシを食うことにする。そこでたまたま初老の日本人夫婦らしき2人が食事をしていたので「こんにちは」と挨拶をして注文しようとすると「よかったらご一緒しませんか」と誘われる。「お邪魔でなければ」とずうずうしくも同席することに。

彼らは夫婦ではなく旅行友達で、年に一回インドやネパールを旅するそうで、インドは7回目だそうである。お互い関西人の59歳で30代になる娘・息子もおり、元教師と現役主婦というなかなか面白い人たちである。デリーでホテル代をだまされ、2倍の料金を払わされたと憤慨していた。7回来ても騙されるというインドの奥深さを感じる。

男性の方はウイスキーを持ち込んで隠し飲みをしており「あなたもどうですか」という言葉に甘え、ガビガビと隠し飲みをする。そのうち2人とも酔っ払い、「もうインドなんだからノープロブレムでしょう」と堂々とボトルを出して飲む。その後、部屋で飲みなおしましょうと誘われ、遅くまでインド話で盛り上がった。部屋に戻って寝たのが何時か忘れてしまう程酔うが、翌朝5時に寒さで目を覚ます。インドもこの時期の夜は冷えるのだ。